九州干潟巡り

3日目(9/20) 晴 -宮崎まで輪行-

 今日は宮崎への移動日。9時過ぎに姫のご家族にお礼を言い,家を出発。鹿児島中央駅に着くと,ちょうど駅にできたAMUプラザのオープン日だったこともあり,人だかりができていた。おまけに日差しが強く,輪行の準備に一苦労。

 秋分の日なので今日もナイスゴーイングカードを使う。宮崎駅までの特急「きりしま」は2450円。3両編成だったのにはちょっとびっくりしたが,10:46の列車に乗って快適なひとときを過ごす。

 宮崎駅到着は12:53。ホテルに予約の電話を入れ,昼食をとったあとは,とりあえず大淀川を見に行ってみることに。河口に着くが,生憎満潮気味でチュウシャクシギが1羽対岸に確認できただけ。対岸へ移動してリゾートホテル前のテラス(?)で休憩してから,先ほど予約したホテルへ。

 ホテルは駅の近くにあり,一泊2500円(税抜)と,なかなかリーズナブルな価格。部屋は11Fになり,良好な眺めときれいな部屋に満足。夕方からは歩いて宮崎駅周辺をぶらつき,本屋でBirderを買ったりし,美味しいうどんを食べて20時過ぎホテルに戻る。特に何もしていないのだが何となく疲れが溜まっており,早めに就寝。


4日目(9/21) 晴 -日南へ-

 起床は6:30。天気予報は晴れのち雨で,南西の風がかなり強いとのことだが,当初の予定通り日南方面へ行くことに。ホテルを8時に出発し,220号線を進む。歩道がそれなりに走りやすいので,路側帯がないところでもそこそこ快適に走ることができる。宮崎空港を過ぎると両側には田圃が出現。サイクリングには絶好の場所だ!春に来たら鳥も面白いだろうなぁと思いながら走っていると,水の張った休耕田でタカブシギ4羽を発見。じっくり探鳥したかったのだが,時間に余裕があるわけではないので,その楽しみは宮崎を再訪する際にとっておくことにして,先へ進む。

 今日の目的は「日南海岸を走る」こと。日南海岸は,ツーリングマップルにも「日本有数のシーサイドライン・九州ツーリングのハイライト」と書かれており,僕も姫も以前から是非走りたいと思っていた場所だ。「日南フェニックスロード」と名付けられた国道220号も,北海道の「黄金道路」よりは好感が持てる。

 そんな220号線を走り,観光地として有名な青島に着いたのは10:30。休憩がてら砂浜に出て日向灘を臨むが,特にすることはないので次の目的地「堀切峠」を目指すことに。といってもこの峠の標高は62m。峠道というよりはちょっとした坂道程度であり,誰でも楽に登ることができるだろう。

 峠を下りたあとは,海岸沿いに続く「鬼の洗濯板」を横目に気分良く自転車をこぐ。鬼の洗濯板とは,大昔に砂岩と泥岩が交互に堆積した地層が傾いて隆起し,波浪によって削られてできた凹凸のある岩のこと。まるで巨大な洗濯板のように見えることからその名で呼ばれているらしい。地学系の学部で学んでいた僕は,この洗濯板の名前自体は大学の講義でも幾度となく聞いてきた。西表島などでも同様の岩を見てきたが,ここは洗濯板が海岸に沿ってずっと続き,なかなか見応えのある光景だった。

 昼食のため立ち寄ったのは「サボテンハーブ園」。ここは約130万本のサボテンがあるらしいが,入園料が高いので僕等はレストランで食事をとるだけにする。名物(?)のサボテン料理に惹かれたが,僕は肉が食べたかったので,これまた珍しいダチョウステーキ(800円)を注文。自転車乗りには満足できる量でなかったが,あっさりして食べやすかった。ここで時計を見やると12:00。実は,今夜は宮崎駅にて,ある方とお会いする約束をしているのだ。待ち合わせの時間に間に合うためには,ここから20キロほど先にある日南駅15:06発の列車に乗ることが望ましい。このまま寄り道をせず向かえば余裕なのだが,一カ所立ち寄りたいところがある。

堀切峠にて。 鬼の洗濯板

 それは日南海岸のほぼ中央部,鵜戸崎の突端に位置する「鵜戸神宮」という神社。本殿が天然の洞窟の中にあるという,一風変わった神社で,歴史好きの姫も行きたがっている場所。ここに寄る程度なら列車の時間には遅れないだろうと二人で話し,神社の駐車場に自転車を止める。本殿目指して階段を上り下りするが,どうやら一番手前の駐車場に止めてしまったようで,本殿までかなり歩くことに・・・。思わぬ時間ロスと予想以上に階段がきつかったことで,本殿のある洞窟に着いたときは二人ともかなりバテていた。

 洞窟の入り口には「運玉投げ」なるものが。数メートル離れた岩に窪みがあり,男は左手,女は右手で素焼きの運玉(5個100円)を投げ,うまく入れば願い事が叶うらしく,カップルが楽しそうに遊んでいた。しかし僕等は時間がないので洞窟内で涼むだけにして,来た道を戻る。途中エゾビタキが何羽も目の前を飛び交い,本当ならもう少しゆっくりしたいのだが,駐車場に戻ったとき,時計は13:30を指していた。

 僕等はツーリング時,約15km/hで走っている。列車の発車時刻は15:06。輪行時間を考えると14:40くらいには日南駅に着きたいのだが,間に合うかは微妙なところ。とはいえ,考える前に走るのが先決だ。ペースをあげてペダルを漕ぐ。せっかくの日南海岸,ちょっと勿体なかったかな。

 日南駅まで残り5kmちょっとのところにあるコンビニまで来たとき,時間は14:30を回っていた。あと10分で駅に着くのはもはや不可能。自転車をたたむのにかかる時間は約10分。時速20kmで走れば,15分で5km走れるのでギリギリ間に合うかもしれない。しかし,鵜戸神社の階段上り下りと,ハイペースで飛ばしてきた疲れで姫はかなりきつそうな表情。

 待ち合わせの時間は「宮崎駅18:00」。日南駅からの列車は,宮崎駅から約3km南にある「南宮崎駅」止まり。列車を一本見送った場合,南宮崎着が17:34なので,輪行時間を考えると本当にギリギリだ。汗だく&油まみれで駆けつけることになってしまうが,それも仕方がないか・・・。

 そう思って「一本見送ろうか?」と姫に聞いたが,帰ってきた答えは「ここまで走ったから意地でも行く!」というもの。そう言われたら行くしかない。ほんの少し休んでから再びダッシュ。しかし疲れでスピードは上がらない。時間は刻一刻と迫ってくる。おまけに,走っている道路が地図から予想したものと異なっている気がして,この道で正しいのかという自信もなくなりかけていた。

 「やっぱり無理か。」

 何度も諦めかけたが走り続ける。するとついに駅が見えた!(←こう書くと,何だかマラソンでもしているかのようだ・・・)

 日南駅に着いたのは14:50過ぎ。一息つく暇もなく輪行の準備。キャリアの取り付けに一癖ある僕の自転車は,たたむのに多少時間ががかる。そこで,自分と姫の自転車を輪行袋にしまう作業を僕が担当し,姫には切符を買いに行ってもらう。そして,準備が終わったのは列車の到着ジャスト1分前。本当にギリギリだった。

 列車に乗ってからは快適だった。乗客も多くないので汗臭さを気にする必要もなく,ウェットティッシュで汚れた手を拭き(手を洗う時間がないとき,ウェットティッシュはかなり便利),一休み。激走した区間を一瞬にして通過してしまう列車に乗ると,何だか虚しさを感じるかもしれないが,それも自転車ツーリングの特徴。16:13に南宮崎駅に着き,ゆっくり自転車を組み立て,一旦ホテルに戻ってシャワーを浴びる。やはり,列車を見送らなくて正解だった(姫曰く,「それでも,あんな激走はもう二度としたくない!」)。

 準備を済ませ,宮崎駅まで歩く。駅の目の前まで来ると,電話がかかってきた。お相手は,これから会う予定の「ごろにゃん」さん(HPアドレスはhttp://www.miyazaki-catv.ne.jp/~goronyan/)。学生時代に自転車日本一周をされ,息子さんもその影響で一周されたという。リアルタイム日記を公開しながら自転車日本一周をしている旅人のHPを見ていると,宮崎の日記ではごろにゃんさんのお名前が沢山出てくる。個人的には2年前,僕が宮崎ツーリングを計画した際から掲示板やメールで何度か色々とアドバイスをいただいてきた。その計画は台風接近によって中止となったが,今回のツーリングを知ったごろにゃんさんが声をかけてくださり,今夜お会いしましょうということになったのだ。

 駅前でごろにゃんさんと落ち合い,駅内の居酒屋へ。近況報告や自転車旅行の話,人生の話などで22時まで大いに盛り上がった。年齢的にも父親に近く,重みと説得力のあるごろにゃんさんのお話は僕等二人に大きく響いた。ごろにゃんさん,本当にありがとうございました。この旅一番の出逢いに感謝して就寝。明日は宮崎市より少し北にある高鍋町まで移動予定。

洞窟内にある鵜戸神社の本殿 宮崎駅内の居酒屋にてごろにゃんさんと。

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