輪行マジックを駆使しよう!

「輪行(りんこう)」,これは,自転車のタイヤなどを外して分解し(もしくはそのままで),公共の交通機関を利用して自転車を運ぶことです。 これによって,自転車はどこへでも運ぶことのできる素晴らしい乗り物になります(もちろん,輪行等しなくても充分素晴らしい!)。

 さて,輪行をするにはどうすればいいのか?詳しい自転車のばらし方などは割愛させていただいて (各種自転車関連の本やWeb Siteで紹介されているのでそちらをご覧ください),ここでは各交通機関への輪行方法等を紹介しようと思います。

 まずは輪行に必要な「輪行袋」について。これは文字通り,輪行の際に自転車を収納する袋。 薄型で軽量化を図ったもの(500mlのペットボトルほど)から厚手の丈夫なもの,ロードバイクからマウンテンバイク,折り畳み自転車用等, 色々な製品が各メーカーから発売されています。値段は,3000〜15000円程度。薄くて小さな物は軽くて場所をとらず便利なのですが, その代わり耐久性が落ちるため,常に自分の目が行き届く列車等以外での使用は危険。飛行機輪行などを考えるのならば値は張る上に重いのですが, 厚手の物が安心できて良いかと思います。ちなみに私は定番のオーストリッチ社製「MTB輪行袋(定価14500円。ネット等を 利用すれば数割引で購入可)」を愛用しています。この輪行袋,1キロ近い重量はつらいのですが耐久性はかなりの物。 3年間酷使してさすがに穴が空きかけたりしていますが,まだまだ現役!ただ,サドルに取り付けるベルトは脆くてすぐにとれてしまいました・・・。

では,次に各種交通機関ごとの輪行方法について見ていきたいと思います。

列車

 輪行をする際,一番利用する機会が多いと思われるのが列車。「旅の出発地まで列車で輪行してそこから出発,帰りは別の場所から輪行で帰宅」という 使い方はよくしますし,日帰りツーリングで「行けるところまで走っていって,後はビールを片手に列車で輪行」なんて使い方もできます。 列車への自転車の載せ方は,駅前で自転車をばらし,手を洗って改札をそのまま通り(自動改札でも通れます。ちなみにJRでは現在輪行料金は取られません。 無料!),列車にそのまま載せるだけ。

 注意したいのは時間帯。いくらばらしたとは言え,かなり巨大な荷物を運ぶわけなので, 朝夕のラッシュアワーは避けるように心がけたいですね。それと自転車を置く場所。特急や新幹線であれば各車両の最後尾にちょうどいい 隙間があるのでそこに置くか,デッキ等に置けばいいと思います。普通列車であれば,各車両のドア横に置くか,最前列や最後尾等に邪魔にな らないようなスペースがあればそこに置くということになりますね。長距離の移動となると居眠りをしてしまいがちですが, そんなときでも周囲の乗客が自転車で怪我をしないよう気を配る必要はあります。袋に収納していても,出っ張っている部分などあって 結構危険なところもありますし。

船舶

 各種フェリーでも輪行はもちろん可能です。船の場合はわざわざ分解しなくても車と同様そのままフェリー内に持ち込むこともできます (もちろん,料金は取れらますよ)が,長距離になればその料金もバカにならないのでやはり輪行と案が浮かびます。ただし ,北海道の「稚内−利尻or礼文」間を運航するフェリーでは,輪行をしてもお金を取られます。しかも,そのまま持ち込んだ場合と大差ない値段なので, このような場合はわざわざバラス必要もないでしょう。

 船の輪行で大変なのは,「自転車を船内に運ぶまで」。長い通路を歩いて船に向かい, そして長〜いタラップを上るのは結構堪えます。船内での自転車の置き場所は船によって異なるので乗船後,乗務員に尋ねると良いかと思います。 大きなフェリーでは階段の下,沖縄の離島間を結ぶ小さな高速船では船外(これは飛びそうでちょっと不安ですが)といった感じです。

飛行機

 これももちろん輪行可能な交通機関です。空港までの移動は自走,モノレール,リムジンバス等を利用して,もしくは宅配便を利用して空港に 直接自転車を送るなんて方法もありますね。・・・で,自走の場合は空港に着いたら入り口でいつものごとく自転車をばらし,既に輪行袋に 収納済みならばそのまま搭乗手続きを済ませればOK。そのとき,「もし飛行機輪行の際にトラブルが生じても文句は言いません」という証書に 署名させられます。また,実際は重量や大きさの制限があるようですが,国内では気にしなくても良いかと思います。

 海外の場合は大きさは良いのですが重量に関する超過料金を取られる恐れがあるので,そのような場合には, 近くにいる人に一声かけてその人と一緒に手続きを済ませれば問題ないかな。ちなみに,海外輪行では輪行袋なしで「そのまま輪行」ってのも可能 (というか,そっちの方が安全で楽)です。航空会社によって対応はそれぞれですが,日本から出国の場合,私は「ペダルとハンドルを外せばOK 」と言われました(チャイナエアライン)。

 さて,飛行機輪行の注意点はというと,自転車が自分の目の届かないところへ行ってしまうので 「収納時にリアディレーラー等に気を配る」ということが挙げられます。実際に壊れて使えなくなったという経験は今のところありませんが, リアディレーラーの調子が悪くなったことなどはあります。まあ,国内路線では扱いが非常に丁寧と聞くので,それ程心配ないかもしれませんね (海外では「輪行袋を投げられる」なんて話も聞きます。こわいこわい)。

バス

 海外ではごく普通に可能のようですが,国内ではなかなかそうはいかないようです。問い合わせてもいい返事はいただけないことが多いでしょう。 とはいえ,高速バスなどでは空いている時期や,粘って交渉すれば渋々ながらOKしてくれることもあるようです。普通の市バスでの輪行は現段階で は厳しいでしょうね・・・。

 輪行で利用する主な交通機関はこのくらいでしょうか。重い荷物プラス自転車を抱えての輪行は,慣れないうちは 結構大変(今でも大変といえば大変ですが)。しかし,これ一つ覚えてしまえば愛車を国内や海外,どこへでも連れていくことができますし, 現地に降り立てば重かった荷物もすぐに時速20kmを出す乗り物に早変わり!「全て自分の足で走らなければせこいではないか」なんて人もい るかもしれませんが,私はこの輪行が大好きです。