どうやって夜を過ごす?

 「泊まりがけのツーリング」・・・のぐちやすおさんも著書「自転車野郎漂流講座」で述べていますが, 旅を初めたとき一番最初にぶつかる壁はこの「一泊の壁」でしょう。私も,最初のうちはテント持たずの野宿ツーリングだったので,「どこで寝よう?」 と不安になりながら走っていました。ここでは,そんな宿泊方法について書いてみようと思います。

◆ 宿
これはわざわざ説明するまでもないですが,宿の形態としてはホテル,旅館,民宿,ビジネスホテル,ユースホステル等がありますね。 これらに泊まるのなら普段の夜と対して変わることはありませんし,女性の一人旅でも安心でしょう。メリットは「安全,快適, ユースや民宿などでは出逢いがある」こと,デメリットは「宿泊料金,食費がかさむ」といったところでしょうか。
◆ キャンプ場
 テントで夜を過ごす場合,一番安全で設備も整っているのはやはりキャンプ場でしょう。料金は無料〜数千円までと幅がありますが, ここでは一泊数千円の,いわゆる「オートキャンプ場」は対象外とします(数千円するなら宿に泊まった方がマシですし)。 さて,キャンプ場のメリットはというと,「安全にキャンプ可能,比較的安く利用可(私が利用するのはせいぜい800円程度まで), 荷物を置いて買い物や散策に出られる(盗難もありますが),水やトイレなどの設備が整っている,出逢いも結構ある」といったところでしょうか。 デメリットは「安全すぎてキャンプをしているという感じがしない,そもそも整備された場所で金払ってテントを張るのはこれ如何に?」と いった精神的なところくらい?とはいえ,旅慣れていなくてもある程度は熟睡できて人目も気にしなくていいキャンプ場は,連泊するときや彼女との旅の時, 無料のときなどは積極的に利用する場所ですね。
◆ ライダーハウス
 これはちょっと特殊で,北海道を中心に存在する簡易宿泊施設。基本的にはだだっ広い部屋(要は相部屋って事)のみで,寝袋で雑魚寝といった感じ。 女性専用部屋のあるところも結構あるようです。料金は無料〜1500円といったところで,風呂や食事つきのところもあります。 メリットは「キャンプ道具を持っていなくても(まあ寝袋は欲しいけど)安く泊まることができ,出逢いが多い」こと, デメリットは「利用者が多い場合,周りのいびきが気になる人や,他人に対して気を遣う人,他人にあまり干渉されたくない人にとってはちょっと 居づらいかもしれない」といったところでしょうか。また,ライダーハウスは地元の方々のご厚意によって存在するもので, 利用マナーの低下などにより毎年増減(といっても減っているといった方がいいのかな)があります。ちなみにライダーハウスという 名前が付いているからといってライダーしか泊まれないなんて事は全くもってありません。
◆ 道の駅
 各地の主要道路沿いに点在する,「道の駅」。もちろん,この施設は決して宿泊用ではありません。ただ,広い駐車場やトイレや東屋などがあるので, 道の駅終了後(だいたい7〜8時辺りには閉まる)に,あくまで「隅をお借りする」といった気持ちで利用している方は結構います。 駐車場で車中泊なんてドライバーも結構いますし。メリットは「無料で,比較的安全な寝床が確保可能」なところ, デメリットは「ここで寝るのはちょっと・・・という道の駅等もあるので,行ってみて判断する必要がある」といったところでしょうか。 広い駐車場があるって事は溜まり場にもなり得るというわけで,その辺の安全に関しては決して保証できません。 また,管理者に注意されたらその指示に従うのも当然ですね。
◆ 公園
 都会の公園はちょっと危険な香りが漂いますが,地方の公園には野宿向きなところが結構多く,トイレや水道もあるので利用価値は高いところです。 ただ,公園にテントを張っている旅人は住民に「不審者」と感じられても仕方ないですし,その辺については公園を散歩している方などに 一応了解を取った方がいいかもしれませんね。また,逆に地元の方と触れ合える場合もあります。安全面に関しては,落書きの多いところや 週末を避ける等すれば基本的には大丈夫ではないかなあと思っています。
◆ 海辺,砂浜
 夏場の都市近郊以外ならば人も少なく,利用価値の高いポイントかもしれません。注意すべきは「潮」。満潮時にどこまで潮が満ちてくるのか, また,緊急時(津波等)のことを考えて寝場所を決める必要があります。そうそう,砂浜で一番厄介なのは想像つくと思いますが「砂」。 テント内や荷物が砂まみれになるのは意外と痛いかも。あと,波の音が気になる方もいるかもしれませんね。
◆ 橋の下
 雨の日に逃げ込む場所としてはなかなか良いところ・・・のような気もしますが,そのときは当然河川の水位も上昇しているはず。 増水時の危険性を考えるとお勧めはできません。どこでもそうですが,危険性を充分認識してテントを張る必要がありますね。
◆ バス停
 雪国や山間地等では小屋のようなバス停を見かけることがありますが,ここも野宿ポイントとしては結構有効なところ。注意すべきなのは 「終バスより後に入って,始発より早く出発しなければならない」こと。まあ当たり前のことですね。
◆ 無人駅
 地方に行けば無人駅はまだまだあります。ここもバス停同様「終電後から始発前まで」の利用を心がけ,近くの住民に一声かけるなどすればなかなか いい宿泊ポイントかもしれません。
◆ その他
 コンビニやカラオケボックス,ファミレス等で夜を過ごすっていう手も無いわけではありません。とはいえ,こんな過ごし方をすれば翌日に 響くのは目に見えています。やはり,寝床を見つけて横にならないと。

 宿泊場所としてはこんなところでしょうか。野宿に関しては,最初のうちこそ「襲われないだろうか」と いう不安がつきまとってなかなか野宿に踏み切れなかったり,テントを張って横になってみても不安で寝られないなんて事があるかもしれません。 今でも私はそう思うときが多々あります。とはいえ,翌日に疲れを残さないよう寝るには「襲われたときは仕方ない,そのときはそのときだ」 と開き直ることも必要かもしれません。「自分は神経質だ」なんて思っている方でも,野宿を重ねるうちに図太くなっていつの間にか抵抗無く 野宿ができるようになることもありますし。とはいえ,それは「メリット,デメリット,危険性」を充分認識し,極力「周囲に迷惑をかけない」 ことを意識した上でのこと。安全管理はあくまでも自己責任で,楽しい野宿をしたいものです。