自転車を取り巻く問題(1)

 自転車の利用度が増えると毎日が楽しくなる反面,自転車を取り巻く環境に対する不満や疑問,そしてもっと大きなスケールの環境問題なんかに着いても考えるようになりました。ここではそんな「これでいいの?」「こうなるべきではないのか?」ということについて書き綴ってみようと思います。まずは・・・

「自転車って安いもの??」

「自転車って楽しい?」のコーナーで,多くの人は自転車を安い物と考えているのではないかと書きましたが,その問題について書いてみます(「自転車ツーキニスト」の疋田さんの受け売りになりがちですが・・・)。この「安い」というのはどのような自転車を指すかというと,例えばホームセンターやディスカウントショップで売られている1万円前後のシティサイクル(ママチャリ),同じく2万円程度のマウンテンバイクっぽい自転車(いわゆるルック車)や折り畳み自転車のことです。私が高校生になった96年頃は,シティサイクルが1万以下で買えるなどということはなかったように思いますが,それから数年経つと,一気に低価格化の波が押し寄せてきた気がします。その生産国は主に中国。だからと言って中国製の物が良くないと言っているわけではありません。

 ただ,疋田さんもおっしゃっていますが,いくら中国製で人件費が安く済むと言っても,これ程までに安い自転車を作ると素材や品質に影響が出るのは当然で,現にこのような自転車は壊れやすいそうです。そして,そんなとき「安いんだから,壊れたってまた買えばいいや」と思う人は多いのではないでしょうか?いや,安いのは決して悪いことではありません。みんなが手軽に購入できる,そのこと自体は大きな利点だと思います。しかし,「安かろう悪かろう」では元も子もないと思いませんか?環境に対する負荷が他の乗り物と比べて小さい自転車なのに,壊れたらすぐに新しいものを買うようでは本末転倒な気がします。

 また,このことは不法駐輪で撤去された自転車の行く末にも関連してきます。不法駐輪で撤去された自転車は各地区の一時的な管理場へ移されるのですが,そこにある自転車の多いこと。しかも中にはまだまだ使える自転車ばかり。私は自分の自転車が無くなった際に周辺の管理場を探し回ったのですが,スポーツ車もたくさんあって驚きでした。・・・で,そんな管理場に一杯の自転車ですが,引き取りに来る人はあまりいないそうです。だって,「自転車なんて安いから,また新しいの買えばいいや」って思う人が多いから。綺麗な自転車も日が経つにつれてボロボロになり,一定期間を過ぎると処分されていく。そしてそれを管理する人件費や土地だってバカにならない。

 そして,このような「安い」自転車が持つ,もう一つの特徴は「重い」ということ。シティサイクルに関して言えば15キロ以上は当たり前,重いものでは20キロを超えるような物もあるそうです。これはどういうことか?例えば10キロのスポーツ車と比べると,20キロの自転車は絶えず10キロの米を自転車に乗せて走っているようなもの。それでは坂道を楽に登れるはずはありませんよね。本来の軽い自転車ならば多少の坂道などものともしないのですが,このような重い自転車に乗っていると,その様な体験ができないばかりか「自転車は坂道を登ったり長距離を走るようなものではない」といった誤解さえ生じてしまうかもしれません。

 「安かろうが重かろうが,一旦買ったら大事にする」方なら問題ありません。でも,私を含めて多くの人はそうではないような気がします(そうでなければ,大量生産大量消費の社会にはならないはず)。それならどうするか?一つは「高い自転車を買うこと」。価格はいくら以上ならいいというわけではなく,あくまで本人が「大事にしよう」と思える値段。私の感覚では「5万円」が一つのラインです。「ママチャリなんかに5万も払えるわけないじゃん」という方もいるかと思いますが,それは本当に快適な自転車がどのようなものか知らないから言えること。自転車先進国のオランダなどでは,日本円で5万円程度の自転車に乗るのが当たり前らしいですし,それだけ出せば1万円のママチャリとは雲泥の差があることを必ず実感できます。まあ,5万円出すとなるとママチャリじゃなくてスポーツ車を選ぶ方も出てくるかもしれませんね。自転車の種類や価格,特徴などについては別コーナーで書きたいと思います。ちなみに私が買ったママチャリは3万弱,MTBは10万と15万,折り畳みは12万です。

 ・・・何だかまとまりがなくなってしまいましたが,ここで言いたいのは「本来の性能を引き出すことのできる自転車は,決して安いものではない。新しく自転車を買うならば安くて低性能ではなく,ある程度値は張っても大切に,そして快適に乗れる自転車を買うべき」ということです。その先には,「時速25キロは余裕で出せて,10キロ20キロは苦もなくこぐことができる」という自転車本来の能力を「敢えて制限された」と言っても過言ではない「ママチャリ」では体験することのできない世界が広がっていると思います。